報告:First EP"Duality"リリースしました

コンプの設定の詰め方:レシオの設定と二段掛け

前回のコンプの記事ではロードローラー式にコンプを試していくという、云わば力業的な方法でコンプの設定方法を解説しました。

今回はコンプで潰す量をどう調整していくかに焦点を当てて設定をリファインしていきたいと思います。



コンプにおけるレシオ

コンプが行う仕事はスレッショルドを超えたシグナルレベルの量を減らすこと。

まず最初の例としてスラップベースを考えてみましょう。
スラップのベースのバランスはミックスに対してよい感じになってるとしましょう。ただスラップの特徴として、特定の音がミックスの前に対して飛び出している状況。

この場合の問題の肝は、散発的におこるシグナルピートだけを下げたい。そして残りのベースパートとレベルと合わせたい。

こう考えたときに、コンプが正しく動作してくれる事、とは殆どのベースパートよりスレッショルドを上にすれば良い。そして問題の特定のスラップノートの時に全力で潰してくれるようにしましょう。

これを調整してくれるのがレシオです。飛び出た音を何分の一に収めるので表されるので1:3等に表現します。

この時音量差は大きいのでレシオは必然的に大きめになります。

レシオが小さいときの事を考えてみましょう。

この様な特定のピークの存在しないアコギを処理する時を考えましょう。ただ微妙にフェーダーレベルが不安定な時。

この時コンプには思いっきり潰されると困りますよね、なのでスレッショルドを一番柔らかく低い音に合わせて、微妙に全体のダイナミックレンジを扱いやすいいレベルまで潰します。

これがレシオコントロールです。レシオコントロールによって一つの設定で二つの状況への対応を可能にしてくれます。

コンプレッサーがスレッショルドを超えたインプットシグナルにしっかり対応させるのがレシオコントロールです。

ローレシオセッティングでは滑らかにスレッショルドレベルに落とし込みます。
ハイレシオセッティングでは殴ったようにシグナルが落ちるます。

ゲインリダクションメーターを見よう

今回簡単に説明しますが、レシオコントロールを実装していないコンプもありますし、同じように設定しても違うように反応するコンプもたくさんあるので注意してください。

数値について考える代わりに、より実践的かつ直感的なアプローチをするにはゲインリダクションメーターを見て、いつ、そしてどのようにコンプが動作しているのかをチェックするのが良いかとおもいます。


GRメーターとインプット、アウトプットメーターは要チェックです。

レシオの設定の具体例

スラップの場合。絶対にピークは潰したいのでスレッショルドがスラップのピークのみに反応するようにセットし、レシオは高くから始めましょう。

一度これをセットしたら、バランスの問題が解決しているかどうか確認する。そしてレシオコントロールをこれに応じて合わせる。まだスラップがうるさいならレシオを上げてピークを更に叩き潰そう。
ギターの場合、2:1ぐらいのレシオから初めて、そしてスレッショルドをゲインリダクションが一番小さい音以外全部で作動するように設定しましょう。

スレッショルドが大体正しい位置になったらレシオコントロールに戻ってフェーダーの位置が安定するようになるまでつまみを回しましょう。
まだ小さい音が不明瞭なのであればダイナミックレンジを狭めましょう。

レシオをマックスにしてはいけない理由

もしレシオをマックスにしてはいけない理由、これは上げ過ぎるとパートを音楽的にしているダイナミクスレンジをぺったんこにしてしまいます。
どんな感じの音になるかと言うとフラットなサウンド、音楽的ではないサウンドに。
なのでバランシングするにあたってはなるべく低いレシオで行けるように頑張りましょう。

シリアルコンプレッション

もしスラップベースの時に、飛び出た音を処理するハイレシオな処理、そして全体的にローレシオなレンジリダクションをしたくなったらどうすれば良いでしょうか。

コンプを二段階にかけましょう

これはよく使われる事で、それぞれのコンプレッサーを違ったタスクに振ることができます。

二つ目のマルチコンプの利点、これは一つのコンプに対して過重なタスクをかけない事で、サウンド的に良い状態で、商業ベースのダイナミックレンジを作り出す事ができるからです。

これはクラシックレコーディングの時から行われている事です。入力信号はアナログテープレコーダーに入れるときに穏やかにコンプレッションされていきます。テープ自体が軽いコンプの役割を持っているわけです。

まだ他にもコンプをチェインする理由はあります。
チェインすることによって、違ったキャラクターのユニットをブレンドさせることができます。これはボーカルでよく使われていて、音色と音量がうまく調整されているのはチェインが鍵だったりします。

ただ、このような色付けをコンプでするのは、ほかのコントロールであるアタックやリリースを学び、しっかりとゲインリダクションができるようになったからが良いでしょう。



まとめ

今回の解説は適切に、音のどの部分をどれだけ潰せばしっかりしたダイナミックレンジに収められるかという事。そして適切な目的に対して適切なレシオ設定をする事でより音楽的でかつ、商業的なダイナミックレンジを達成することができます。

一個のコンプに無理をさせるのではなく、複数のコンプにそれぞれ役割を持たせるとうまくいくのではないでしょうか。

慣れてきたら、ギターのコンパクトエフェクターの用に味付けにチャレンジするのも良いのではないでしょうか!
次は残りのコントロール、アタックとリリースを説明したいと思います。
コンプの基本はこちらから

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