報告:First EP"Duality"リリースしました

ミックスにおける最初の音量バランスの取り方と基準

初めてミックスをする時、手順に困ったり、何から手を付けて良いか分からない事ありますよね。今回はミックスのそもそもの目的、バランスを取る事について解説したいと思います。

手順のとしてはハイパスフィルターで簡単な掃除、パンニングを決める、そしてバランスを取るです。これらはEQやコンプを処理する前にやっておいた方が良い事です。

この手順ややり方に関してはプロのエンジニアの中でも諸説あり、その人のトータルの仕事の仕方によるものが多いですが、今回はなるべく失敗のしない確実な方法をメインに紹介したいと思います。



何から手を付けるか

これですね、諸説あります。一番大事なパートからフェーダーを上げる。という意見を数多く聴きます。ただこの一番大事なパートは何なのかというのはジャンルや、価値観によって変わってくる所で、歌ものなら歌なのか、歌ものでもリズムをハッキリ感じる為にドラムスなのかという風に分かれてきますよね。

またバランスの取り方は後述しますが、一対一の比較が一番やりやすいので、最初にフェーダーを上げた物が後々響いてきます。極端な話ここで音を出し過ぎるとヘッドルームが足りなくてマスターが赤になる事が多々あります。

個人的にはキック始まりが一番安定します。

理由としては
自分が比較的キックが大きいジャンルをやっている事。
そしてレベルがボーカルに比べると安定している事。
そしてそもそもの音量レベルが大きい事です。

大体目安としてキックがピークメーター -10dbになるように上げてそこから組み上げて行くエンジニアさんがが多いようです。


フェーダーは0dbに

これは先に断りますがDAWミックスでは僕はやっていない事ですがなるほどなぁと思った事です(PA等ではこれをやります。)。
フェーダーで全ての音量の問題を解決してしまいがちですよね。ただよく見るとフェーダーの音量変化って場所によって変化するんですよね。

基本的にフェーダーは0db付近が一番解像度が高くなるので、ミキサーを使うならばインプットゲインで、もしくはゲインコントロールのプラグインを挿して大体の音量はここで決めてしまう事です。(Cubaseでは入力ゲインの設定が出来ますRack→Pre)

これはどれぐらいの音量でそもそもレコーディングすれば良い?みたいな部分にも顔を出してくる部分で、多くの場合出来るだけ大きく録るという話を聞きますが、実際に鳴らしたい音量で録れば良いという話も聴きます。

脱線はここまでにして…

フェーダーを0db辺りにしておく効用はもう一つあります。

ありがちなパターンとして、もっとそのトラックを大きくしたくなってしまってフェーダーをガンガン上げてしまう事ありますよね。
元のベーシックバランスでフェーダーが0db付近であれば上げ幅はそこまで無いのでブレーキになってくれるという訳です。

最初のバランシングはとにかく大事に

ここは僕も非常に気を付けている所で、ミックスにおけるEQやコンプは基本的にバランスがキッチリ整わないから(時間軸上で、周波数上)行うのであって、それを考えると最初にバランスをしっかり吟味しないと無駄なプロセスが増えてしまう原因になります。

正確に、それぞれの楽器のレベルがミックス全体に対してどのような意味を持ってるか考えながら決めて行きましょう。

また良いバランスはある種トレードオフ的な性質があります。
例えばラウドなミックスがしたければ全てのサウンドがラウドに聴こえるように、好ましく聴こえている必要があるし、逆に女性ボーカルの歌声が重要なものとして既にあるならば、それの邪魔をしない為に他のトラックのレベルを下げていく必要があります。

大事だけどパーフェクトは求めない

バランスを追い込んでいくと、このタイミングではバランスピッタリなんだけど、この音の瞬間はもっと下げたいな…と思う所があると思います。
それを感じ取る事が非常に重要で、例えばシンプルに演奏のレベルのバラツキであったり、ブリッジミュートで低音だけが膨らんでいたり…そういう物をミックスにおけるプロセッシングで安定、取り除いていくと考えるのが良いでしょう。


勿論慣れているエンジニアさん、は大体ベースはこれぐらいはレベル差があるからとりあえずコンプ挿しておこう、みたいな事をすると思います。(実際時間の無いバンドレコーディングにおいてはそうでした)

しかし自宅でミックスしているという事は時間的なメリットは既に手にしているし、またこの記事を読んでいる方はミックス上手くなりたいなと思っている方が大多数かと思います。

であればバランスをきっちりとりフェーダーが安定しない場所を1つずつ発見していくのは遠回りに見えて近道だと思います。


まとめ

フェーダーの不安定さに敏感になると、ためらいなくどのトラックに何のプラグインを挿すか決める事が出来るようになります。これによって最初のフェーダーセッティングに使った時間は無駄になりません。この時間は後々のミックスプロセッシングに対してしっかりとした土台を作ってくれるものであると考えるのが良いでしょう。

この項はやや日本語が読みづらい点があるかもしれません、質問があればコメントに残して頂ければ回答、改訂します。

沼に入らないミックスの入り口は最初のバランス取りにあると言えるでしょう。

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