DTMでオーケストラっぽい曲の作り方ガイド~音源や打ち込みミックスまとめ~

昨年の6月にオケ音源に手を出し、たまに作ってたら今月死ぬほど書く羽目になって結果的に準備しておいて良かったなと思ったオーケストラ楽曲についてです。

という事で今回はDTMでオケっぽいの、を作れるようになるまでのガイドです。あくまでオケっぽいの、Epic系みたいなやつ、ふわふわしていますね。ちゃんとオケをやりたい人はちゃんと勉強してくださいね。

やる事としては以下の通り。

  • オケスケッチ音源を買う。
  • オケ打ち込みの為に環境を整える
  • やりたい形式に近い曲を一曲分析して実際に打ち込んでみる。
  • 分析した曲っぽい曲を作ってみる。
  • 大雑把なオケのパートの役割を理解する。
  • 簡単なEQとドラムの処理をする。

サクセス!!

という感じです。僕は1分程度の曲を5曲ぐらい書いてまぁまぁかなというのを書けるようになりました。なんちゃってオケからちゃんとしたオケに進む方法も併せて書いておきます。

買うのはオケスケッチ音源

オケ系音源というとストリングスだけで7万円!ブラスで7万円!クワイヤ!打楽器!みたいなイメージがありますが、最初からここに突撃するのは非常にお薦めしないです。

どのジャンルも極めたいから最初から良いソフトを買うんだ!志向の人も一度思いとどまった方が良いです。

いくつか理由としてはありまして、個別音源を一個ずつ買ってると金額が馬鹿にならない事。今時なオーケストラを書く為に何の楽器が必要なのか把握してないと買い物出来ない事。混ぜるのがめんどくさい事。などが挙げられます。

という事でまずオケスケッチ音源を買いましょう。オケスケッチ音源と言われている物は、Violin、Violla 、Cello~と別れてるのではなくStringsならStringsでドーーンと音域によって勝手に楽器が割り振られている音源の事です。そして必要な楽器が大体収録されています。

この先オケガチ勢になるにしろ、楽曲のエッセンスとして取り入れたいにしろ、スケッチ音源は軽いので持っておいて損は無いです。また楽器の構成の事も何管編成だから…と迷う事も少ないです。

という事でまずオケスケッチ音源を買いましょう。それでも予算は5万は覚悟しといてくださいね、大変だね。
という事で以下軽くおススメ音源を紹介します。

Spitfire Audio Albion One

熱狂的ファンが多いSpitfire Audio。非常に魅力的な音がする映画音楽寄りの音源です。イギリス産という事で音が凄くウェットで遠いです。

僕はこれを最初に買いました。ストリングス、ブラス、ウッドの他にパーカッション、オケ系で使われるシンセ類、ループがパックされていて、ちょっと入れればお手軽緊張感演出マシーンと化すので後々本格的な音源を買っても役に立つ所が良い所。



駄目な点はちょっと重たい事、音が遠いので日本で良く好まれるバッチバチに前にせり出した音作りがしにくい(僕は出来ない)と言った所でしょうか。(あとハープが無い事)

趣味なら良いですが、制作業でオケに手を出さざるを得ない…みたいな方は避けといた方が無難かもしれません。(バリバリ前にせり出す音が日本の制作業界では好まれる為)

マイクの設定は大分追い込めるのでもう少し幅が出せるのかもしれませんが。

お値段449$Spitfire AudioはWish listセールが周年記念と年末?か年度初め辺りにあって40%ぐらい下がったりします。学割もあります。

BEST SERVICE THE Orchestra

Albion oneよりもうちょっと自然な、というか割と自然で軽くて使いやすい音源です。
Spitfireを投げ捨ててこっちに行った知人を何人か知っています。


凄い使いやすい音源であると同時にバリバリのEpicでもなく、ハリウッドサウンドでもなく…という感じなので、追い込むならそこそこミックスのアイデアが必要な印象です。

この音源の結構大きな強みは、楽器毎にも鳴らす事が可能であるという事。これは他のスケッチ物では出来ない所です。お値段も3万円ちょっとと手が出しやすい。BEST SERVICEはこういう製品多いですね。

Red room Audio Palletシリーズ

これは大分派手めなシネマティック寄りの音源。音がバキバキ、UIが分かりやすい、ハープやピアノ、クワイヤなど一通り揃っている、などの理由から推せます。


拡張で、メロディー(ユニゾン)とソリスト収録、FXなどがあります。299$+199$…という感じ。ホールサイズも二種類で収録されているので汎用性もそこそこ。

痒い所が結構揃ってる所が凄く良いですね。分かりやすくEpicな感じも出しやすい。

あとはEast Westを漁るなり、IKのオケ音源を買うなりという感じでしょうか。
オケ専門職人ではないので、オケ音源自体を詳しく見たいのであればMerry Badさんのブログを参考にすると良いかなと思います。
語り口も面白いし。


オケを打ち込む為の環境整備

MIDI鍵盤とMIDICCを送る為のフェーダーは必要です。他のジャンルに比べて圧倒的に音数が多いのでガンガン簡略化していかないと死にます。

フェーダーは長すぎず、短すぎない程度の物を…大体MIDIキーボードについてるもので充分です。これでMIDILearn機能を使ってフェーダーをダイナミクスの所とビブラートの所に割り当てる、これで準備は完了です。

Kontakt系の音源であれば右クリックしてMIDI Learnさせた状態でフェーダーをグリグリすればおっけーです。



オーケストラをそれっぽく聴かせるには抑揚を如何につけるか、にかかってきますので、このオートメーションを手でせこせこ書いてるとどれだけ時間があっても足りません。

あと最低でもメモリは16gb積んでおく事。

テンプレート?最初は要らないですw

やってみたいオケ音楽を一旦コピー

一口にオケ音楽といっても、シンフォニック系(クラシックっぽいの)、トレーラー系、シネマティック系、Epic系、とまぁ色々とありまして本当に色んな作法というか形式があります。

例えば通常の弦の編成は1st 2ndViolin Viola Cello ContraBassの5パートですが、ハンスジマーなどが書く今のシネマティック系だと12段以上の楽譜になっている事が多く、それだけ多様なパートが絡まり合っている事が分かります。

その為一般的な編成を学べば自分のやりたいジャンルが書ける様になるという事はあまり期待しない方が良いでしょう。

またシンセをどの程度入れるのか、打楽器の使い方、様々ありますので、リファレンスを下に置いて手持ちの音源でどのように打ち込んだら再現出来るのか、試行錯誤しながら作業をしましょう。

コピーする際に気をつけたいのは
  • 楽器の配置
  • メインメロディを担うパートの構成
  • リズムパートの構成
  • 場面から場面に移る際の演出の仕方
  • 対旋律のなんとなくの入れ方
  • コード感の演出の方法
この5つを意識すると良いでしょう。

楽器の配置に関しては従来のオケの配置図を見ながら、それとどれぐらいズレているかを確認しながらやると良いかと思います。従来のオケに対してシンセやギターなどを入れていった場合よりワイドな音像が求められる場合が多々あります。

オケ物のミックスはナチュラルな加工が多い分、パンを振って配置を極端にする事で対応する事が多いので注意すると良いでしょう。(ヴァイオリンを左端に振り切る、など)

メインメロディの作り方は一番重要な所です。これは管弦法をきちんと学べば音の重ね方がちゃんと学べますが、最初はザックリと手札を何枚か抱えるのが良いと思います。例えば弦のユニゾン!とか、ピッコロフルートのユニゾン!とかホルン単独!とか覚えて場面に合わせてメロディを担う楽器を割り振ってあげると、後は残りの楽器をパズルにしていくだけで完成するようになっていきます。(ならん事もあるけど)

リズムパートの構成は、現代的なオケ物ではほぼほぼ必須です。実際に手持ちの楽器と照らし合わせながら大体どのタムでどういう音が出るのかとか、金属的な音は何で出すのか…研究しましょう。

場面転換の演出は有ると無いとで一気にオケっぽさが変わっていくので注意です。
シンバルのロールを入れる、シンプルに最後のフレーズだけ楽器を増やす、ドローン音でドロップを作る、色々ありますね。エクスプレッションが大事と言ったのも切り替わりに合わせてウワーとすれば大体それっぽくなるからです。

対旋律の入れ方は、これまたちゃんと勉強する際は対位法を学べば良いのですが、これも引き出しで持っていると曲に厚みが出来ます。ファンファーレの様にトランペットがフレーズの終わりに入っているなぁとか、ブラスで雄大に後から割って入ってくるなぁとか。

あとのコード感に関しては白玉を入れるのか、アルペジオを入れるのかって話になりますがこれはここまでそこそこコピー出来てるならすぐ出来ると思うので詳しく解説はしません。

パートの役割を掴む

コピーした結果学んだ事と、自分の習作を組みながらパートのおおよその役割を掴んで行きましょう。

  • メロディ
  • メロディのハモリ
  • メロディの補強(抜き差し)
  • 対旋律、もしくはサブメロディ
  • リフ、もしくはコード感を演出するアルペジオ
  • 大きいリズム
  • 細かく鳴り続けるループ系のリズム
  • 場面転換の為のSFXやパーカッション
  • 盛り上げる為に音を詰め込んでいく人たち
大体のオケ作品において全てのパートはこの様に役割分けが可能です。作法を知っていれば機械的にアレンジ出来るのがオーケストレーションの良い所ではありますが、演出として盛り上げたい、盛り下げたいという作曲者の欲求に対して様々な楽器を抜き差し出来るのがオケの良い所です。

全ての楽器を常に使う必要は全く無い

この事を念頭に置いて常にどのような演出をしたいかを頭に入れてパートを組んでおくと良いのでは無いでしょうか。

ミックスは基本的にはあまり過度な事はしなくて良い

生楽器の収録においてはあまり過度な調整は楽器の鳴りを阻害する事になり、あまり好まれる物ではありません。

最初に必要になるのは

音源のクセとしてどうしても膨らんでしまう部分の処理
違う音源を組み合わせる、サンプルを入れる際に馴染ませる為のリバーブ
デカいインパクト音を入れた際のコンプとサイドチェイン処理

恐らくこの程度かと思います。極端な話オーケストラはホールで演奏して客席にマイクをおいてそのまま収録しても良い訳です。
単一のスケッチ音源を使っていれば、その全ての収録楽器は同じホールで演奏されているはずなのでそのまま鳴らせば大体違和感無く鳴ってくれるはずなのです。

さて、その中で必要になってくるのが以下の処理です。
まずはEQ。多くの音源で重ね過ぎるとふわふわ、モコモコハッキリしない音になってしまいがちです。ボワつく中域を軽くカットし、高域を調整してやるだけで随分ハッキリと聴こえる様になるでしょう。

次にリバーブですが、とてもドライな環境で録られた別素材や別のドラム音源を混ぜたいとなった場合、疑似的にスケッチ音源と同じ空間に存在しているように演出する必要があります。

その為にリバーブで馴染ませましょう。質の良いコンボリューションリバーブが良いでしょう。ここら辺が面倒なので最初はスケッチ音源で丸ごと買うのが吉です。いくら好きだからと言ってBFDのオケ拡張なんて買うんじゃないですよ笑

ドラムの音だけはキックの音を作るように、音が重なっても抜けるように音作りをしてやる必要があります。大抵のEpic系ドラム、リズムは不自然なほどドカドカ鳴っている事が多いので。
ローのケア、抜ける高域の処理、必要であればサチュレーションやパラレルコンプレッションを使用して補強をしてやると良いでしょう。

ドでかいインパクト音を入れる際はベース、もしくは既存のリズム音のローをサイドチェインで抑えてあげるとレベルを振り切らずにインパクトを残す事が可能です。

ちゃんとオケをやりたい人向けの情報

はい、という事でなんちゃってオケを作れるようになろうの記事でした。
踏み込んで勉強したい方は以下の勉強をやりたいだけやりましょう。

触りだけやりたいのであればこちらのオーケストレーションの本。(コピーなんかできねーよって人もこれからやると良いと思います。)


管弦楽法(各楽器の音域、奏法、特性、重ね方などを学べる)
ウォルターピストンの管弦楽法であれば大体の図書館にあります。またこちらのサイトにてコルサコフ氏の管弦楽法の日本訳が公開されています。
対位法(対旋律の作り方)
今のEpic系、映画音楽系をやるのであればそれほど厳格にはやらなくても大丈夫…とは思いますが。



とりあえず簡便に触るのであればこの書籍が丁度良いサイズ感です。
更に踏み込むならウォルターピストンの対位法になるのだろうか…。

オーケストラにおけるマイキング(どのようにオケが録音されている)
これに関しては良い書籍が無かったので、打ち込みオケを扱う際の有料noteをGodspeed氏が公開されていたのでこちらを。
https://note.com/godspeed_vivix/n/ne30e6086f075
ミックスの項でも触れた通り、過度なエフェクト処理をしない分マイキングを弄る事で音像をコントロールする事が多いです。スケッチ音源ではあまり触れない物も多いですが理解しておくと音作りの幅が広がるでしょう。

あとは音源メーカーの解説動画をガンガン見ましょう。これ最強。Spitfire Audioはこれが充実しているので本当に強い。あとお姉さんが綺麗。大事。

それでは良いオケライフを!

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