第十二回~旋律的短音階(メロディックマイナー)の誕生

ハーモニックマイナーでは7度を半音上げる事でリーディングトーンを手に入れました。
これによってⅠ-への強い解決感をドミナントモーションと共に確立しました。

ただその代償として6度と7度の間で半音三つ分の増二度音程が生まれてしまいました。

この増二度音程は特徴的であると同時に、演奏しにくい、歌いにくいというクレームが入ってしまいました。という事で、6音目も半音上げようか、というのがメロディックマイナーです。


メロディックマイナーの特徴

メロディックマイナーはハーモニックマイナーの6度を半音上げ、7度との増二度音程を解消した物です。そのためメロディックマイナースケールはハーモニックマイナーのⅠ-への強い解決感を持った上で、自然な旋律を産み出す事が可能になりました。


利点に代償は付き物です。パラレルメジャースケール(同主調)と比較してみましょう。

Cメロディックマイナースケール

Cメジャースケール

三度以外の音程に違いが無く、メジャースケール同様に長6度、長7度を持つ為短調感が弱くなるという弱点があります。実際にスケールを上から弾いていくと、メジャースケールの様に錯覚しますよね。

なので、バロック期、古典期のクラシック音楽においては上行時のみに使用され、下降にはナチュラルマイナーが使われています。代表的なピアノ教本のハノンにおいてもそのようにスケール練習が組まれています。

各音の特色はハーモニックマイナーに比べてサブメディアントが強く7度を経て1度に進むというメジャースケールと似た特性になります。他に大きな違いはありません。

ダイアトニックコードの修正

さてメロディックマイナーにおけるダイアトニックコードは二度四度六度をルートに持つダイアトニックトライアドと、七度をルートに持つダイアトニックセブンスコードはハーモニックマイナーの時と違うコードタイプとなります。

二度四度六度をルートに持つコードは、7度の音を含まないので、ナチュラルマイナーからハーモニックマイナーの時の修正の影響を受けていません。なので実質ナチュラルマイナーからの変更と考えて大丈夫です。


二度をルートに持つコードはメジャーキーの場合と同じく、サブドミナント機能を持つⅡ-7となります。Ⅱ-7 Ⅴ7 Ⅰ-という進行もマイナーでも見ますがツーファイブ部分がメジャーと同じになるので、ハーモニックマイナーほど強いトニックマイナーへの進行感は得られません。

四度をルートに持つダイアトニックコードⅣ7は♭Ⅶ7同様にドミナント機能を持たないドミナントコードとして考えられます。

六度をルートに持つⅥ-7(♭5)はⅠ-6の第三転回形と考えられるのでトニックの代理を果たすと考えられます。
ただし、トニックに対して長6度音程を含み、これはメジャースケールらしさにもつながるので、Ⅰ-6やⅠ-M7に比べて調性感がやや薄くなります。

またメジャーキー同様Ⅶ-7(♭5)が七度をルートに持つダイアトニックコードとして登場します。

まとめ

これにてマイナースケール編は終わりとなります。3種類マイナースケールが生まれた理由が分かればあとはダイアトニックコードのバリエーションを頭に入れて行けばマスターしたと言える所でしょう。

一見ダイアトニックコードがメジャーと比べて極端に増えたように見えますが、機能が大きく変わる物、そうじゃない物とありますのでそれで整理するのも1つ。

また今何のスケールを使っているかを頭に入れておいて、コードの基礎、1つ飛ばしで音を押さえていく、を念頭にコードを出していくのも一つの手かと思います。


コメント

人気の投稿