第七回~メジャースケールにおけるダイアトニックコードの機能

今回からコードの持つ”機能”について解説していきたいと思います。

音程の記事で言及した通り、今我々が取り扱っている平均律の基で構築された音楽の最大のメリットは転調、移調が自由自在に出来る事です。勿論調毎の印象は存在しますが、音楽として破綻せずに移調出来るのは平均律のお陰です。

移調する事によってコードは変わっているはずなのに、同じ曲の様に聴こえる…これを成しているのがコードのFunction”機能”と呼ばれる部分です。

つまりやっとコード理論の本丸の1つに辿りついたという訳です。
丸暗記で突破してしまうのも1つの手ですが、リハーモナイゼーションの時などに物量に押されて萎えてしまうのでしっかり理解していくのが良いかと思います。
ダイアトニックスケールの各音の特徴などを思い出しながら頑張りましょう。


スケールの特性音

音階とは12音の音高からいくつか取り出して並べる物(ざっくり)なので、数多くの組み合わせが存在します。(メジャーマイナースケール3種、ペンタトニックスケール…各種モード)

同主調のメジャースケールとマイナースケール、ぐらいであれば割と分かりやすいですが、似たようなスケールも沢山あります。その中でこの音を演奏すれば、そのスケールらしさが分かるような音、特定のスケールを特徴付ける音高のことを特性音と呼びます。

各スケールの特性音は作曲家や理論によってさまざまな解釈の違いがありますが、一般的にはメジャースケールの特性音は第四音、CメジャーではFの音にあたります。

どうやって特性音を決めるのか、という話は一旦置いておくとして。

メジャースケールにおける特性音について考えたいと思います。

特性音とアヴォイドノート

メジャースケールでの特性音について考えてみます。
トニックをルートとする和音は、解決感(終わったなと感じる事)が発生すると言いました。さて、このトニックをルートとする和音に対してメジャースケール上の音を色々と足して行きましょう。

さてF音を上に足した場合、E音と♭9の関係が発生します。長く音を伸ばす事がコツです。凄く不協和なコードが生成されたのが分かるでしょうか。

メジャースケールにおける特性音とはスケール内で注意が必要な音を回避音、一般的にはアヴォイドノートと呼び、CメジャースケールではFが特性音となります。

初回の記事にて音程について解説をしました。年代によって不協和であるとされる音程は移り変わり、色んな不協和な音程が許容されてきましたが、♭9は基本的には厳しい音程です。

ただし他のスケールにおいては、必ずしも回避音となる理由が特定の音程と♭9を作るわけではなく、特性音=アヴェイラブルノートになるとは限りません。
理由はスケールによって異なります、これは後述。

コードのファンクション

コードにはメジャーセブンスや、ドミナントセブンスのような和音の種類、つまり各音がどのような関係であるか、という面でも分類出来ます。今回はそれに加えてトニック(T)ドミナント(D)サブドミナント(SD)で表わされる機能によっても分類する事が可能です。これは調性内の度数と、和音の種類によって決める事が出来ます。

調性内の度数はローマ数字をトニックから順に振り
ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦというように通常のコードと同様に表す事が出来ます。(アナライズの基礎の所で詳しく説明します)

トニックファンクション

トニックの機能を持つコードは最も安定感があり、落ち着いたサウンドを持っています。
トニックファンクションを持つのは
ⅠⅠM7 Ⅲm Ⅲm7 Ⅵm Ⅵm7
Ⅰ6もⅥm7の転回形とみなせして含む場合があります。

この様に転回すると別のコードとして表せる場合、転回先のコードの機能を転回前のコードも持つことが多々あります。

トニックコードの定義は特性音である第四音、CメジャーではFを持たないコードです。
ただしⅤに関しては優先される機能があるのでこの限りではありません。

ドミナントファンクション

調性内のコード進行において、五度から一度へのルートの動きが最も自然で、強い解決感が得られると考えられています。

このルートの動きを強進行、ドミナントモーションと言います。
ⅤからⅠへの和声が進行する場合、ⅤがⅠに対してドミナントモーションをかけると言います。

ドミナントファンクションを持つ根拠

強い解決感を持つコード進行を作る為には、元々のコードが不安定である必要があります。(不安定なコードが安定になる事によって安心感は生まれるのです)
なのでドミナントファンクションを主張する根拠として

Tonicへと半音上がって解決しようとする不安定なLeading toneを持っている。
ルートが5度から1度に進行する。
またⅤ7の場合不安定なトライトーンを持つ。

この三つになります。
メジャーキーのドミナントコードの中ではⅤとⅤ7がドミナント機能を持っています。
またCメジャーキーで言うG7は半音下に解決しようとするダブドミナントFを持っていて、Leadingtoneとトライトーンの関係にあります。

つまりFとBはEとCへと解決します。

このように半音程または全音程での動きを順次進行(Conjuction Motion)と言います。

Ⅴ7のドミナントモーションでは各コードトーンがスムーズに順次進行していて、かつ不安定なトライトーンが三度の和音に解決するので、ⅤよりもⅤ7→Ⅰの方がより強いドミナントモーションを得る事が出来ます。

では三つの根拠のうち、Ⅴコードは二つしか満たしていません。
ルートが5度から1度に進行しないようなドミナント機能を持ったコードはあるのでしょうか。

Ⅶm7(♭5)はG7同様トライトーンをコードトーンに持っています。
G7(9)のルート省略系と考えられ、ドミナントとして機能すると考えられます。

しかしながら、5度下降のルート進行が無い為ドミナントとしない場合もあります。これは理論によって解釈が揺れる所です。
(根拠としての3つの条件が揃えば揃う程、強い解決感を産む事が出来、また少し欠けたとしてもドミナントモーションは機能すると考えると良いと思います。また根拠が減るほどドミナントとしての"強さ"は弱くなる、というような解釈で良いのでは無いでしょうか)


サブドミナントファンクション

トニック、ドミナント機能を持つコードに分類されなかったダイアトニックコードは
Ⅱm Ⅱm7 Ⅳ ⅣM7があります。

これらはメジャーキーの特性音を持ち、コードトーンにLeading toneを持たないコード達です。

特性音を持ちながら、Leading toneを持たないため、トライトーンは生成されずドミナント程の不安定感も発生せず、またトニックほど落ち着きは無く、トニックへの進行でもドミナントほどの強い解決感は得られません。

その為、ドミナントを経由してのトニックへの解決、トニックへの直接解決の二つのルートが考えられます。


まとめ

さてダイアトニックコードの機能の解説が終わりました。え、これだけ?と思った方も多いかもしれません。ダイアトニックコード的にはこれだけです。実際ダイアトニックコードは全て網羅した訳ですから。

なのでコード進行を分類していくと基本的にはT SD Dの組み合わせで全て説明出来るわけです。世の中には様々なコード進行が存在し、王道と呼ばれる進行も数多く存在します。

多数のコード進行を覚えて身につけるのも、センスを磨く1つの手段ですが、結局のところT SD D(と正確にはⅠ以外のT)の3つの順番を入れ替えているに過ぎないのです。

このように、コードそのものの種類に振り回される事無く楽曲を組み立てていけるツールとしてコードファンクションの考え方は非常に有用です。

次はこの機能を用いた終止(ケーデンス)について解説したいと思います。

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