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5弦ベースのメリットデメリット:おすすめの楽器と選び方

今回は楽器の選び方についてつらつらと書いていきたいと思います。
定期的に5弦ベーシストに対しての苦言、そして炎上というのは良く見る物ですが…

実際の所5弦ベースは難しい!

というのが正直な所です。4弦だと割と正解に辿り付きやすいんですけどね。
なので今回はメリットデメリットを見ながら5弦ベースの選び方を考えてみましょう。

大体この話

5弦ベースのメリット

五弦ベースのメリットは

弦の本数が多い

以上終了です。ほんとにこれだけ。
低い音が欲しけりゃ別に4弦に太い弦を張れば良いし、というか別に弦変えなくてもちゃんとしたベースなら割と鳴るし。

スウィープとか縦移動のフレーズ、表現をしたい人。どうぞ多弦を使ってください。
だって弦の本数が足りないとそもそもその表現が出来ませんから。やりたい事がそこにあるなら仕方無い。


低めで開放の鳴りが二つ欲しい。まぁこれも多弦導入には悪くない理由だと思います。これも弦の本数増やさないとどうにもなりません。ですが選び方を間違えると開放弦特有のオープンさは失われます。
あとチューニングに凝りたい人とか。

5弦がかっこいいと思う。どうぞ5弦を買って下さい。憧れ、趣味、これに勝るものはありません。大好きなギタリストのシグネチャーを買うのと同じ。


ただ、もしそれでバンドメンバーからキックされたらしょうがないよねって話なんですよね。

プレイング面でも、そもそもの構造の面でも5弦ベースは難しい面があります。

5弦ベースのデメリット

5弦ベースのデメリットを考えてみましょう。その為にはエレべのデファクトスタンダードとなった四弦ジャズベースとの比較は避けて通れない道です。

5弦用ネック(多弦もそう)は鳴りが悪い

5弦用(多弦)ネックというのは物理的に幅が増えるため、ネック自体の質量が大きくなります。これによってベースの出音自体のブライトさが抑えられる傾向にあります。

何故か。単純に質量が増えたら共振させるのが大変だからです。
ドラムのシンバルも一緒で大口径をパシーンとならすのはパワーとコツが必要です。

でこのブライトさ、EQで補正出来る程度の物なら大丈夫なのですが割と全帯域にもさぁと被さってきます。
5弦でLowBを出したいからワシャ関係ないって思った方、居るかと思うんですけど。

LowBの基音の周波数って知ってます??
30.1Hzです。まぁ正直ほとんど聴き取れない(もしくは再生してくれない)高さなんですよね。そこら辺のイヤホンの20Hz~20kHzって嘘ですからね(この話はまた今度)

じゃあ人間ってベースの音どうやって聴いてるのって言うと、二倍音以降の倍音で音程を聴き取っているんですよね。ベースに慣れてない人が耳コピすると実音よりオクターブ高くとってしまったりするのもこれが原因です。

なので、音程なんてどうでもいい、ローがブワアアアアって出てれば俺は大丈夫!って人は良いんですけども、しっかりバンドの中で低音パートを弾く必要があるという方は

「何を弾いているかしっかり分かるような音を出す」

という必要があります。

そもそもエレキベースの大きさの限界

さてスタンダードとなったジャズべの弦長。34インチ。
これはロー自体を出すにはまぁ別に問題無いんですよ。ミディアムスケールだってロー自体は出る。

ただベースが出したいのはモワついて音程の分からないローじゃなくて、しっかりした、なおかつカッコいいローが出したい訳です。つまり曇ってしまう倍音を出したいと。

LowBの音域はどの音域かというとピアノの最低音がLowA、あとコントラバスとかもそう。
ピアノを見てみましょう。一般家庭用のグランドピアノのC3で全長180㎝はあります。
ピアノはそれだけ長いスケールを持ちながら、大きなホロウ構造を持ち、おまけに屋根付き笑、豊富な倍音を出力するまさに楽器界のキング。

34インチは90㎝弱しかないんですよね。非常に厳しい。

アップライトベースもほぼ人間の身長と同じ長さがあります、ついでにバカデカいサウンドホール。

34インチのトラッドなベースでLowE以下を音程感を損なわずにしっかり出すには、そもそも無理があるんですよね。なので個人的にはトラッドなスタイルの五弦は無理だと思っています。実際にオリジナルなスペックで出すメーカーも多いですしね。

弦が多いと弾きにくい、その他

慣れてくれ

手軽にLowB弦が鳴るおすすめベースとは

ベースで音程感を出すには倍音をしっかり出せる構造が大事という話をしました。

なのでこれらのデメリットを克服する為に、組み込みとかではなくて機構として簡単にLowBの音域が使い物になるようなベースを作ろうとするにはどうしたら良いかというと

マルチスケール、もしくはエクストラロングのスケールを採用する。

またはシングルカッタウェイにして死ぬほどボディの容積を増やす。(これに関してはやり方によっては音が詰まる可能性があるので辞めてるベースもある)

という感じになります。あとはホロウボディにするかネックの剛性を上げる為にカーボンを入れるなり、何枚も挟んだタイプのネックを選ぶとかも大事…かな。

細かい努力だと後述のプレイアビリティ的な側面が大きいですが、テンション”感”を増やす為にヘッドとブリッジでスラントさせる、とかもあります。

こういう事をしないで良い鳴りのベースを作ろうとすると、物凄く組み込みだったりエレクトロニクスだったりを頑張らないといけないのでLowBをちゃんと鳴らしたいなら新品で30万は見積もっておいた方が良いです。これはベース専門店の店長さん二名からも言質を取った事があります。



という事なんとか安くLowBの音を出したい。という事でまずマルチスケール。Dingwallですね。20万円でしっかりLowBが鳴ってくれる。ちょっと嘘っぽい音がするけど。音作りの範疇です。

DINGWALL Combustion 5st (Vintage Burst/Pau Ferro)
ConbustionならプリアンプがEMGなのでDarkglassのあの音が嫌いでもなんとかなります。勿論NG-2でもおっけーです。

マルチスケールという事は高音弦側は短くなってる訳でネック質量も若干落とせるので良いです。ファンフレットは慣れたら普通に弾けます。おすすめ。

もっと予算を落とすならIbanez BTBのシングルカッタウェイじゃないやつ

Ibanez《アイバニーズ》BTB845V-ABL【数量限定!アイバニーズ・ロゴ入りヘッドホン・プレゼント!】

エクストラロングスケールでマルチプライネックですね。(5pかな?)
正直な所音は間違いなく一歩後ろに引っ込みます。仕方ないです、が音程をある程度しっかり出すには使用には耐えうるはずです。

バンドで前に出てウェイウェイしたいならお勧めしません。Ibanezのベースの設計自体が元々そっち寄りじゃないので。

ちなみにBTB自体2016年辺りにしっかり手が入るようになったようで、それ以前の物は結構ダメな物もあります。実際僕も売り飛ばした事ありますし。
ここら辺は35インチのエクストラロングスケールを採用しているので比較的安心です。

逆にそれ以外で予算30万以下となると滅茶苦茶厳しいです。中古でアトリエZ(ベチベチ音が気に入らないなら弦高見直すと良い音するらしいです)なりWarwickのドイツ製なり…を漁る事になるんじゃないかなぁと。後は8プライ構造のベースとかが多いMayonesか…ただ最近やたらと値段が上がっているので厳しいかもしれませんが。(一年前はDuvellにしても派手な木目でない物が20万円台でありましたが最近見なくなりましたね)


みんな大好きDirty loopsです。スラップが子気味良く抜けますね。普通の6弦じゃこうは鳴りません。何をしてるかと言うと37インチのベースにして、二フレットにカポをするとレギュラー6弦チューニングになるような仕様になってもす。最早意味わかんないですね。

尚且つテンプラフレット、音程感ばっちしですね。

五弦をまともに運用する為に必要な技術

5弦ベースにはそもそも構造的な無理があります。安いベースではまずまともにLowB弦が鳴る事は殆どありません。なので鳴らし方を学ぶにも厳しい所があるのも正直な所。

ただ、それでも今のポップスだったりメタルだったりというのはLowCあたりまでは平気で使ったりもする訳で(ただ音源では打ち込みだったりもするけど)五弦ベースを選ぶ、六弦ベースを選ぶというのは充分に考えられると思います。好きなベーシストが5弦使いだったりね、それは仕方ないです。

で実際上手く扱えてない人も沢山居る訳で、そうすると不意にTwitterとかでマウントをとられたりする訳です。じゃ、何をしたら良いかという話を簡単にしておきます。

ミュート

生音でやってると案外気が付かないですがアンプで鳴らすとミュート出来ていないLowB弦の共振が音を劇的に曇らせます。指置きと言われても良いので絶対にLowB弦に指を置いて手首で一弦を弾くか、ラップミュートするか、親指に頼らない(弦に沿わせて行く)ピッキングに改造しましょう。

ピック弾きの人はギターの要領でミュートすれば良いので割とハードルは低いかと思います。アンソニージャクソンぐらいバシっと決めましょう


おじいちゃん出音良すぎんよ~

ピッキング

大体これですね。LowBチューニングにすると必然的に弦がダルダル気味になるので、ピッキング後に弦が暴れます。これによって何が起こるかと言うとポールピースから弦が外れる、そしてネックに対して共振をさせる、なおかつピックアップが拾えるボディに対して垂直方向の成分が減ってしまいます。

なのでここを頑張りましょう。ここをちゃんとやっておけばLowBの音もまともに出せないのに~なんて言われる事は難癖以外で無くなるはずです。

縦方向ピッキングで検索かければ色々出てくるはずです。そもそもコントラバスも縦ピッキングですからね。しっかりベースが”鳴る”弾き方を身に付けましょう。

逆にこれがしっかり出来てればどの弦やベースでもコシのある良い音が出るはずです。

機材の吟味

音が曇るんなら歪ませればいいじゃない。まぁ間違ってないです。ただ注意したいのは、ローの辺りまで歪ませると更に訳分からなくなるので、原音ミックス出来るタイプの歪みか、周波数でクロスオーバー出来るタイプの物を使いましょうという感じです。

ただこれで何とかなるのは、ギターと一体化してロー感出すのがお仕事という人がメイン…しっかり音程感が必要な人は機材でどうこうならない事の方が多いです。

むしろ要らないコンプとか外してやった方が良い音ですかも。

まとめ

まとめると、最近のスタイル的にLowB弦は欲しいな~という思考で5弦を選ぶと

知らん人にマウントは取られる
良い音も出にくい
そもそもLowB音が使い物になるベースは新品30万ぐらいは出さないと無い

だから大変だよって話でした。
5弦表現が必須とか、憧れが5弦とか、そういうのは仕方ないです。だって音楽はやりたい事やってなんぼですからね。

ただ仕事するとか、バンドで表現したい事、を考えた時にベースが通奏低音として下でしっかり音程感を出してくれているかどうかは非常に大事です。

キーボーディストとして言うと、左手でルートをなぞるか否かを決めるぐらい大事です。

なので低い音が出したい、ぐらいなら無理して多弦にする必要は無いんじゃないかな、明確に弦の数を増やしたいという目的が無いなら無い方が良いという個人的な意見でした。

ヘッドのある無しとフレット数もサウンドに明確な影響があります。この話はまた今度。

あー俺も良い5弦欲しい…

コメント

  1. 世界初の5弦や6弦のベースを考案して
    他メーカーが門前払いされる中、唯一トバイアスが応じて製作した楽器を演奏したパイオニアが
    正にアンソニージャクソン氏。

    6弦ベースのまさしくパイオニアにして孤高の存在。

    スラップ&プルのラリーグラハム、
    フレットレスのジャコパストリアス
    と同様偉大なミュージシャンでありアーティスト。

    お使いの楽器は年年歳歳の改良、改変を続けに続けて、
    現在は厚めなホローボディーの6弦ベース。
    氏は以前より6弦ベースをコントラバスギターと呼んでいます。

    5弦(6弦)のローB弦が鳴らない問題を本体側に求め勝ちですが、
    弦をブリッジ側がテーパーと成ったテーパード弦にするだけで解消するかも?

    (ピアノの低音弦はテーパー弦。ブリッジ?部分は芯弦だけ)

    実際に二本の5弦が詰まり気味だった5弦ベース(フェンダーjのJBVとバッカス(アクティブ))にローB弦をテーパード弦にしたところ快適です。

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