報告:First EP"Duality"リリースしました

Vivie IRENE66:レビュー~テクニカルギターにおすすめの歪みエフェクター!~

今回は国内エフェクターメーカーで最近とても勢いのあるVivieから出たIRENE66のレビューをしたいと思います。

と同時に何回かのレビューに分けて、最近大村孝佳ファンになってしまったにゃんちう氏の全面協力の元、ギタリストの音作りの旅について考えてみようかなと。


今回は刀アンプを始め、エドワーズの大村孝佳シグネチャーのスナッパ―、そしてVivieのIRENE66、そしてBLACK MESSIAH。

この4つの機材を持って僕のスタジオにやって来てくれました。


IRENE66はギターのサウンド作りの基本、大体どこに行っても演奏に問題の無い音が出せている人には正直(大村トーンが凄く欲しい訳でなければ)必要の無いエフェクターかと思います。

しかしながら…特にメタル~ハードロックを演奏する人間にとってトーンの基本が出来ずに機材の売り買いを続けてしまっている人。マーシャルを相方にとられてジャズコを使わないといけない方。間違いなくこのエフェクターは買いです。

このエフェクターはギターの音作りの80点を日本のどこのリハスタ、ライブハウスでも出してくれる。そんなエフェクターではないかなと感じます。それでは大村孝佳氏のこのツイートを読んでから


それでは解説の方行きたいと思います。
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なぜ常設のアンプで欲しい音が出ないのか

サウンドレビューをする前に…そもそもここなんですよね。常設のアンプに大きいペダルボード、これで欲しい音が出ないがために色んな機材を売り買いした挙句デジタルに行く人アリ、アンプ購入に行く人おりと…そんな感じなんですけども。

メタル、モダンなハードロックの音を作るとなると色んな面で常設アンプで勝負するのはそもそも茨の道であるという事実が存在します。

なぜならばこのジャンルのアーティストの殆どがアンプで歪みを作っているという事です。アンプでの歪み作りとストンプエフェクターでの音の作りの何が違うかと言いますと、レンジの広さ、そしてハイゲインにした時の音の潰れ具合です。

そう単純な話では無いのですが、アンプヘッドによる歪みは100Vの家庭用電源で駆動しているのに対してストンプペダルの多くは9V。単純な比較は出来ませんが、基本的W数が低ければ低いほど音のレンジは狭くなっていきます。

改造系マーシャルという存在

改造系マーシャルと呼ばれるジャンル、ご存知でしょうか。今回のIRENEはFriedmanのアンプを相当に意識して作られて(セミナー動画でも確認しました)おりまして、Friedmanというのが見た目からしてマーシャルの改造から始まっているメーカーなんですね。


この動画がIRENEの印象に一番近いでしょうか。

他で有名所と言うとソルダーノのMODだったり、あとBognerとかもそうですね。

JCM800、900に関してやはり相当にハイゲインではあるのですが、刺さりがちな音色、ゲインを上げ過ぎると原音が潰れる、等の問題があり(使用者に問題がある気がしますが笑)。そもそもJCM800なんて発売が1981年ですから、EVHサウンドも確立されていない時代の物なんですね。

80年代も後半になるとマーシャルを改造して使用するという事が流行り始めます。この事に食いついたのが当時のLAメタル後期のギタリスト勢だった訳ですね。

荒いサウンドよりもスムースで、それでいてパンチは聴いていて、そしてハイゲイン。

この動画も方向性やや似てるかな、ちょっとミッドに張りがありますが。

その上ライブハウスのキャビネット。激へたりしています。音がペラかったり、高域だけシャーシャー出て来たり。もうお分かりですよね、この手のサウンドは音作りの最初期段階を踏み越えるのが中々難しいジャンルなのです。

またテクニカルなプレイとも近い事から、アンプのトーンに問題を起こしていると弾くのが怖かったり、逆に自分が何を弾いてるのか分からなかったり、自分のプレイがちゃんとお客さんに伝わらなかったりとか…大問題ですよね。

それを一手に解決してくれるのがかのIRENE66です。



サウンドレビュー

さて今まで御託を色々と並べてみた訳ですが。とりあえずにゃんちう氏プレイのサウンドデモを聞いて頂きましょう。


こちら接続はEdwards大村孝佳シグネチャー→CANARE→IRENE66(電池駆動)→KEMPERジャズコリグフラット→Zentour→Cubase8.5(24bit 88.2khz)

一応エアー録りの動画も見つけたので追加で

基本的にはザクザクとしたディストーションサウンドで、弦の鳴りが潰れずなおかつそれを下支えするようにロー~ローミッドが出てくるような感じですね。

やはり改造マーシャル系の中でも一番Friedmanのスクープ感が近いように感じますね。

どんなギターも芯が一回り太めになるといった印象です。

大体こんなセッティングで弾いてた(はず)。基本的にゲインは10時以降上げてもサウンドキャラクターはほぼほぼ変わらず、ボリュームは素直な効きで、トーンに関しては1つのギターに対して一個ここ!という場所が割と簡単に見つかる感じでした。

むしろ変にトーンを開いてシャーシャー出しても美味しさは感じないし、絞り切っても折角レンジの広い歪が曇る…といった感じで。

一応ミドルのトーンシフト的なトグルスイッチMeowと書いてある右列の二個目ですね。これを上げるとややミドルがハリのあるというか、ややハードロック寄り、ソロ寄りの音色に鳴ります。これも正直微差、ではありますが少し下に沈み込んだリフをダウンチューニングで弾きたい時とかは切っておくのが正解なのではないでしょうか。

左側のフットスイッチはブースト用でシンプルに音量も上がるし、下げるというややトリッキーな使い方が出来ます。ブーストはQ値の広めなエッジを出す為のノブというよりかは太さを少し足す程度の物です。

なのでフロントシングルでソロの時やや出力が物足りない時などに踏むと良いのかなぁと。


セッティングのコツ

これほどセッティングの簡単なエフェクターは無い…とは思うのですが。3時間近くえんやこらやっていたのでいくつかtipsを。

ゲインに関しては先ほども言いましたが9時以降殆ど変わりません。サステインとノイズの量と後はトーンの微調整に合わせて軽く前後する程度で良いと思います。ヴィブラートでどれぐらい伸び感が欲しいかとか。プレイングに合わせて微調整すれば良いのでは無いでしょうか。

基本的にトーンノブに関しては開発陣も当初トーンノブを排するという方向で話が進んでいたらしく、大村氏がトーンノブみんな使う??というアンケートをTwitterでとっていた記憶があります。

実際使っていてもトーンを絞り切った状態からだんだんテンションが上がって来てここ!!という位置が非常に分かりやすい。その後開き切っても破綻した音にはならないのですが、どうしても蛇足的なエッジ感というか、抜け感が出るように感じます。なのでトーンノブは絞り気味から上げていく事をお勧めします。

逆に上の方までそこまでザクザク歪ませなくていいよーという時はギター側でやや絞ってあげてもよいかもしれません。(ただこのジャンル弾く方のギターはワンボリューム仕様が多い気がしますが)

ゲインを極端に低くとればトーンを絞ってという使い方も出来るのでしょうが…うーんそれなら他のエフェクターで良いでしょというのが基本的な感想です。

ちなみにとりあえずハイゲインなのでDjent的な音作りをしようと試みたのですが、JC側のLOWを恐ろしいぐらいバッサリ切る、ぐらいの事をしないとサウンドキャラクターは変わりませんでした笑

製品としてはアンプ側の推奨セッティングという物が同封されておりまして

リターンに挿す事前提の設計では無いのでアンプ側の状態に合わせて軽く補正をかけてやっても良いのかな、と。今回のサウンドデモではトレブルはフラットちょい上ぐらいにしてやったのでより刺さり気味の音になっていました。


まとめ

個人的にギターの音作りに関してはデジタルに移行し、オタク的な探究心からデジタル領域での音作りに慣れ親しんできたので、常設のアンプがどやこやと悩む事って殆ど無かったんですよね。

ただそのデジタル機材もGT10から始まり新品定価は5万を下らないという…そういった事もあって中々踏み出しにくい道の一つでもあるんですよね。重たいしw

結局プレイング的に納得の行くデジタルマルチとなるとBIASHEAD、HELIXLTのような10万帯のマルチになってしまうし、これまた使いこなせないと並以下の音になってしまうという事もある。

そういう中で金銭的にも、運搬的にも制約のある方が一つこれを買っておけばハイゲインなテクニカルメタルならおっけーだぜ、というのがこのペダルなのではないかなぁと。

BlackstarのVTDUAL、ケトナーのTUBEMANあたりの中途半端に可変はするけどスイートスポットの無いフロアプリアンプ、ここら辺はガンガン食っていけるんじゃないかぁと。ここら辺と比べて圧倒的に軽いというのもありますし。

個人的には3万中ごろを出すならもう少し頑張って、AtomicとかGT100の中古辺りを狙っても良いんじゃないかなぁと思ったりもするんですが…。



ギタートーンの入り口が出来ていない人におすすめというのはこういった点からです。大体どのノブもさほど神経質にならずにそこそこ良い音が鳴る。しかしながら魔法のような素晴らしいプリセットセッティングは存在せず、といった所でしょうか。常に80点を叩き出すという表現をしたのはこういったインプレッションからです。

さて、次は同時に持ってきて頂いたバッファー兼ブースターであるBLACK MESSIAHですね。こいつを繋いでやったら80点がどうなるのか…これがね、まだ増えるんですよ。

そうIRENE66は音作りの出発点を作ってくれる機材、そしてそれが出来たら…最後の一押しでみんな悩むんですよね、ギター本体かな、とかシールドに拘ろうかなとか。

そういったなかで、BLACK MESSIAHというバッファーが一つの選択肢として挙がってくるのかなと。

次回はIRENE66とBLACK MESSIAHのコンビネーション含めてレビューしたいと思います。それでは!


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