ハードロックらしさとは:ハードロック前史

ハードロックだ!!!ハードロックの時間だぞ!!


私はハードロックと言われるとキーボーディストの血が「ジョンロードのようにオルガンをマーシャルに突っ込んで、ペンタソロとマイナートライアドのアルペジオでソロ弾けば良いんでしょ!」となってしまうので、そもそも

ハードロックって何から生まれたんだ

という話をハッキリさせて、

どこまでがハードロックなんだ?

という枠で語りながら、現代においてハードロックの要素を取り入れるにはどんな点に気を付けるべきなのか。そんな事を考えてみたいと思います。

多分3回ぐらいに分かれてやる予定ですね。

何で今ハードロックなのかって言うとこの21世紀に私の演奏動画を見てハードロックのRECオファーを出して頂いた方がいらっしゃいまして。これは存分に応えないといけないな、と笑

ここから非常に長文になりますが以下の点を抑えながら読むと頭が整理しやすいと思います。
  • 60年代イギリスには10年ほど遅れてブルースロックの波が来てた
  • ブルースisとても簡単
  • サイケというお薬を使って新世界を見て創作するという実験的な連中が居た
  • ラリった状態での感情をフレーズに昇華したい欲があった
  • ギターアンプの音がめっちゃ大きくなって歪むようになった時期だった
  • 歪むようになってチョーキングのエモさが増した

大きく分けると3点、細かくすると6点ですね。

この記事は楽器をやってない音楽ファンの方でも楽しめるかと思います。

ディスクガイドと素晴らしい図説はカケハシレコード様が
として特集されています。存分に参考にさせて頂きました。

ハードロックは何から生まれたのか

全ての音楽は原初の音楽の始まりと呼ばれる、石や棒で物を叩くという事が発明されて云々以降(諸説)、必ずジャンルの生まれた基になる物、が存在しています。

必ず何かの影響を受けて音楽は生まれます。

HRにおいてその元とされているのがサイケデリックロックとブルースロック。サイケは一旦置いといて、ブルースというのは黒人の労働歌や鎮魂歌な訳ですが全てのポピュラーミュージックはブルースの影響を受けていると言われています。

ブルースロックとの関わり

ブルースらしさ、という物を言葉にして言うならば簡単で(12小節の決まったコード進行)、黒人のアメリカにおける境遇故にプロテスト的な内容である事が殆どです。

つまり決まった形、簡単なボキャブラリーで好き勝手出来るパッケージ、と考えると分かりやすいかと思います。Emのブルースでジャムセッション、なんてことは各所で行われています。

さて1950年代にはカントリーとブルース、R&Bが合体してロックンロールと呼ばれる物が出現しますね。エルビスプレスリーとか。



ここらの話はまたブルースそのものの話をするときにするとして、大事な点は、ロックンロールはこの当時米国で大流行りはした物の、未だに黒人のやってる音楽として一般的な市民権は得ていないという点です。(黒人の社会的な地位が確立されていなかった事も要因として大きい)

さて1960年になり、アメリカではやや古い音楽としてブルースが扱われる中、イギリスでブルースが感情を発露しやすい形式としてややブームになりブルースロックという物が誕生します。

ただブルースロックがロックから別物として誕生したかと言われるとストーンズがブルースロックと呼ばれないあたり、ロックバンドがブルースの要素を取り入れ始め、それを見てブルースロックを名乗るバンドが出現し始めた、ぐらいの認識で良いのではないでしょうか。

文字読んでばっかりなのも飽きるので一旦聞きましょう。ハードロックの原点の1つとも数えられるビートルズのヘルタースケルター



やたらチョーキングを使いたがるのと、あとワンコードのリフ(リフレイン)の上でややインプロっぽい事をやってるのが分かりますね。(ほぼ同じチョーキングのフレーズをややリズムからアウトしながら繰り返している部分)

インプロなんて昔のジャズミュージシャンが死ぬほどやってるんで新規性なんて全く無いんですけど。大事な事はインプロという一種の感情の発露をブルースの文法を使えば簡単に!手軽に!出来る!という所なんですよ。

だってペンタトニックスケール(通常の7音スケールに対してペンタは5音スケール。アボイドノート無し。これもまた解説します)なぞってたらそれっぽくなるんだもの、便利ですよね。

でこのインプロっていうのをギターでやる。これが一つの発端になるのですが、歪んだギターというのはこの当時斬新な物でした。ラウドなギター。あれをガシャーンとやった時の感覚、何とも言えない物がありますよね。

そしてチョーキング(音程を連続的に変化可能な奏法)自体の気持ちよさも、断然クリーントーンより歪んだギターでやる方が気持ちいんですよね。そういう意味でより直情的な表現が可能になったと。

さて、ここで

サイケデリックとはなんぞや

という事が出てくる訳ですね。インプロやりたがったのはサイケの連中だと言いました。

サイケとは一言で言うと薬でやって見えた幻想世界を表現することです。(超訳)

お薬の影響で実験的な音楽とか、東洋の色々とかが輸入されてた訳で、その中でお薬の時に得たインスピレーションで楽器が弾きたい!となったのがインプロ欲の増大と考えましょう。

とりあえず音源聞いておきましょう。Doorsの2nd

なんていうかこのやや不思議な感じ。基本マイナーなのに唐突にメジャートライアド入れて転調させる事で不思議感が出てたり…あとそもそも尺がちょっと変だったり…基本不思議というかエキゾチックというか…そんな感じです。
この雰囲気がサイケですよ。

ザックリ言うとね。これ聞いて東洋人としては東洋思想を取り入れてるとか言われてもなぁって感じですけどね笑

もう一曲行っときましょう、五大プログレバンドがプログレロック化する前の1st

流石に後々プログレやるからって言ったっていきなりこの曲でアルバム始めるのはどうかと思いますけどね笑

ふしぎーな雰囲気を持ったロックだった、そのふしぎさはクスリから来ていてその世界観を表現するために実験的なサウンドや構成、あとアルバムでの文学的な世界観の演出、何てことが行われていたんですね。

サイケロックの系譜をハードロックが受け継いでいるという事を頭に入れていくと、70sのプログレバンドがプログレの割にまぁまぁ良い意味で雑なハードロックをしていたり、逆にハードロックやってた連中がやたら長い曲を出したり、二枚組アルバム出してプログレ化したり、という原因がよくわかるかと思います。

サイケデリックという物は音楽に限らず映画だったり作家達の間でも、というかミュージシャンより先に扱われていた概念なのです。詳しくはWikipediaを。

誰がハードロックの始祖なのか

はい67年のクリームとジミヘン!だらだら話てきましたけどハードロックの原点はこことして話進めましょう。まずブルースサイドからクリーム!


ジャックブルースとエリッククラプトン、とジンジャーベイカーの3ピースですね。こっちはブルースロックの系譜を色濃く継いだバンド。

ここで大事なのがベースとギターが同じ単音リフを弾いてるって事なんですよね。これクリーン音色だと成り立たない事ですし、ラウド化が如実に出てる部分ですよね。

次はサイケ側としてジミヘン!
シングルカットされている曲を除く、1stで推しているのはFoxy lady



この人に関してはジミヘンドリックス自体の存在感が強すぎますね。それでもブルースロックの連中よりかはサイケの匂い(とジミヘンのギタリストとしての技量)がプンプンしてるのでは無いでしょうか。

なぜここをハードロックの始まりとする!のか

この後死ぬほどハードロックに名前を残すエリッククラプトン、ジミーペイジ、ジェフベックといった三人のスーパーギタリストが居たあのバンドが居ますね。ヤードバーズです。音源を聴きましょう。




うーーーーん。これはハード、ではないでしょ。まずゲインが足りねぇもん。

どうもここに居たギタリスト3人大体同じことを考えていたようで、ブルースロックをもっとラウドにしたやつ、やりてぇなって。

その結果のクリーム、ジェフベックグループ、レッドツェッペリンって分かれていった訳ですよ。みんなおっさんになってからは方向性違いますけどね。

ヤードバーズはどっちかというと、BBKingがやっていたブルースギターとロックンロールのあいの子みたいな感じですよね。ハーモニカの存在も相まってロックンロール感を感じますもんね。ちなみにロックンロールの代表曲と言えば


チャックベリーさんですね。今聞くとめっっちゃ音が軽いですよね。そもそもこの頃ギターでディストーションサウンドって物が出なかったんですよ。ザックリとしたブルースロック側の変化、感じて頂けたでしょうか。

ハードロック黎明期

もう少しハードロックがメインストリームとなる前の音源を漁っておきましょう。
ヤードバーズにいたジェフベック



ジェフベックというとLed bootsだったり、個人的にはBlow by blowに強烈に高校時代に影響されていましてハードロック期というよりも70年後半のフュージョン期の方が好きです。

この頃のジェフベックグループにロッドスチュアートがボーカルで居るっていうのも大きなポイントですかね。シャウトもハードロックの大きさ要素の1つです。

ここまでの音源というのは全て70年以前の物です。あっジミーペイジさんに触れるの忘れていた。


これは完全に個人の好みセレクトで1stにあるCommunication Break downです。大分ラウドになってますね。何がってリズム隊が

こう聞くとバスのダブルとスネアでずっとしばき上げるフレーズだったり、フロアタムとバスドラの絡みだったり、ボンゾ以前のプレイヤーにはあまり聞かれなかったフレージングですね。

今でもロックドラマー連中に根強くボンゾ信者というのはマイキー信者並に居ます。現役若手でもたまにボンゾにが憧れって言うドラマー、存在しています。何年前のプレイヤーなんだって話ですよ、凄いですね。

全盛期の70sに向けて

はいみなさん。ここまでのハードロック。求めていた物と違う!なんて人いないですか?僕も違いますね(大声)。もっとドーンときてガシャーンと来る感覚、あるじゃないですか、それがね70年になると来るんですよ。


Black sabbathですね。ほら、ガツっとくるじゃないですか。これ70年の音源なんですけど。強い(リマスターの関係もあるが)。

ハードロック前史を振り返って強く感じるのは、ハードロック、特にキーボードに注目して聞いていると様式美的な部分少なからずってイメージする訳でこの時代にまだそれは無いんですね。

ハードロックを胎動させたのはブルース系のギタリストだったりサイケの影響を受けてる連中だって事が分かります。Deep purpleもこの頃はまだ第一期でアートロックをやっていてハードロックに転向していない時期です

70年からハードロック転向組が出現してきて、本格的にそういったバンドマンのバックグラウンドの中にクラシカルな物だったりジャジーな物だったりが潜んでいて、あのハードロックらしさと感じられる混沌に繋がったのではないか。

そしてその土壌を作ったのは間違いなくサイケの実験精神と、ブルースの簡単な音楽文法の2つだったんですよね。

そしてこの流れは70年代中盤まで続いていきます。
で、その後
パンクロックに根絶やしにされます

嘘です。ちゃんと生き残ったバンドも居るし、またNWOBHRとして80年手前には復権します笑

大分大雑把に駆け足で来ましたが感覚的に掴めましたでしょうか?

では次回はハードロック黄金期に突入したいと思います。

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